特にデザイナーと名乗るわけではありませんが、PCのリテラシーがあると言う理由で、デザインを依頼される場合があります。
今回はのぼりのデザインを依頼されました。
仕事柄、Web制作をしているのでWebサイトのデザインについては多少なり免疫がありますが、専門的な知識がありません。
ましてや、紙に印刷するものに関しては知見がありません。
さて、
今回は、デザイナーでは無い私が、オリジナルのぼりを作成する過程で勉強になった事をまとめていきます。
作成したデザインのご紹介
今回作成したのぼりは下記です。
野菜と花の無人販売で使うのぼりをデザインしました。
のぼり 製作業者について
Googleで「のぼり 制作」等で検索すると、すぐ検索結果が出てきます。
ここでは、要点を掻い摘んでまとめます。
一般的なのぼりのサイズ感
縦と横それぞれ、1800mm×600mmが一般的なようです。
価格感
上記で記述したサイズ感ののぼりを作る場合の費用は、1000円〜2000円位になります。
ただし、額面上で判断しない方が良いです。
納品後にデータに不備や誤記があって修正する場合は、業者によって追加請求が発生します。
必ず、業者のガイドラインに目を通して下さい。
ツールの知識やデザイン経験が無い場合、意外と負担が大きいです。
納品形式
一般的には、次の形式で納品する必要があるようです。
データ形式 | 概要 | 手数料 |
---|---|---|
ai | Illustratorで作成されたデータ | 無料 |
xlsx | Excelで作成されたデータ | 有料 |
検索上位のサイトですので例外はあるかもしれませんが、Illustratorで作成されたデータ(以下、aiデータ)で作成する必要がありそうです。
Excelの場合は、数千円の手数料が必要になりますので、(後術しますが)Illustratorのサブスクリプションを購入しても大差がないかもしれません。
デザインに関する情報集めについて
1から新しいデザインを作るにあたり、参考にするデザインを探します。
デザイナー特有のインスピレーションやセンスは1日2日でどうにかなるものではありませんが、既存のデザインから次のことは学べます。
- 構図
- 色み
- 文字(フォントの種類、サイズ感)
市場調査の場所
参考デザインを探すせる場所は、主に下記のような場所があります。
それぞれ、上記の点を考慮して見てみると参考になるものが多く見つかると思います。
- Google画像検索
- 業者の既存デザイン
- デザイナー会社
また、実際に印刷して外で見せるものですので、近くにのぼりがあれば実物を見に行くのも有効です。
暗い色ののぼり は夜になると見えづらいのがよくわかります。
Webサイトのデザインも有効です。
もちろん、ブラウザで見るものと実際に印刷して見るものでは、見る時間も用途も画角も違うので一概に比較できるものではありません。
しかし、左上から読ませる、下にかけて読ませる事は変わりませんし、何より情報量が多いです。
有効なツール
webサイトを回遊していて、「この色を再現するにはどうしたらいいだろう?」と思う時があるかもしれません。
その場合は、ブラウザの拡張してカラーピッカーをインストールすると良いです。
Chromeの場合は、下記のようなツールがあります。 chrome.google.com
Illustratorについて
前述したように、Illustratorで作成したデータ(以下、aiデータ)でないと納品ができないようです。
Adobe社が開発しているデザインツールです。
印刷物のサイズを扱えるので、印刷会社に人気があるツールです。
利用するには?
Adobeのサイトで利用権の購入と、ツールのダウンロードを行います。 www.adobe.com
Adobeのツールは、買いきりではなく、定額制です。
Illustratorのページで表示されている価格は、年縛りの価格です。
年払いに比べて割高ですが、1月で解約する事も可能です。
サブスクリプションの金額
ご参考までに、2018年8月時点での金額は下記です。
プラン名 | 金額 |
---|---|
年間プラン | 2,180円/月 |
月々プラン | 3,180円/月 |
代替えツールはないのか?
代替えツールとして、有名なフリーソフトにinkscapeというものがあります。
これは、aiデータの編集は可能ですが、1からaiデータを作ることはできません。
また、編集可能ではありますが、必ず全てのファイルが開ける訳では無いようです。
(プラグインで実現可能かもしれませんが、今回は触れません。)
今回の要件では、代替えツールとして使えないと思った方が良いです。
納品時の注意点
前述しましたが、業者のガイドラインは(デザインに免疫が無い人から見たら)厳格です。
そのため、Illustratorの機能を理解しておかないと再提出につながります。
納品データを作る際に、自分がハマったポイントを記載していきます。
また、今回は「のぼり屋さんドットコム」様のガイドラインをベースにします。 nobori-print.just-shop.jp
実サイズと入稿データのサイズの違い。
業者が入稿用にデザインのテンプレートを用意している場合があります。
用意されている場合は、テンプレートに合わせてデータを作らないといけません。
デザインを依頼者に確認する必要があったので、一旦、別ファイル化して後で、テンプレートに結合しようと思いました。
のぼり の一般的なサイズは1800mm×600mmなので、Illustratorのプリセットを同様に設定しました。
しかし、実際のテンプレートでは大きめに作られています。
テンプレート側のサイズ計測は先に済ませておいた方が良いです。
チチと塗り足し
のぼりのデザインする際には「チチ」と「塗り足し」を考慮する必要があります。
nobori-print.just-shop.jp
チチとは
のぼりを設置する際にポールに結びつける帯の事です。
www.nobori-u.com
塗り足しとは
実際のサイズよりも外にある、裁ち落とされる部分の事です。
のぼりを印刷して切り出した時の誤差用のスペースとも言えます。
塗り足しとは?(断裁ずれにご注意ください)|データ作成の前に|印刷通販の【WAVE】
注意すべき点
上記の制限があることを考慮し最初から次の操作をしておいた方が良いでしょう。
- チチ領域をあらかじめガイドで指定しておく。
- プリセット作成時に塗り足しの領域を加味する。
画像の解像度
印刷物の一般的な解像度は350dpiですが、 「のぼり屋さんドットコム」様の場合は、解像度は100dpiでした。
もし、写真データ等の画質を気にする必要があるデータを扱う場合は、画像を取り込む場合はPhotoshop等で解像度を調整する必要があります。
以上です。
印刷物を作り慣れている人であれば、あまり難しい事ではないかもしれませんが、慣れていないと結構大変です。
費用についても、ツール導入、送料まで加味すると、1枚ののぼりでも総額5~6千円位します。
そう考えると、あまりお得ではないかもしれません。
それでも、やはりデザイン作業というのはやってみると奥が深くとても面白いです。
これを見て興味を持たれた方は、挑戦して見ても良いかもしれません。